春季カタル

春季カタル  花粉症と別 正しい治療を
http://www.tokyo-np.co.jp/article/living/health/CK2011021502000094.html



花粉症で目のかゆみに苦しめられる人が多い時季だが
上まぶたなどが腫れたり痛みが伴う目の疾患「春季カタル」も知っておきたい。
これまでは春に患者が増えたが、最近は通年で目立つ。
重症のアレルギー性結膜疾患の一つで、九、十歳の男児に多いという。


「まぶたが腫れて目が開けられなくなった。
 黒目にもただれができて、まばたきなどのたびに、痛がってずっと泣いていた」


葛飾区の女性は、長男(4つ)の病状を振り返る。発症したのは三歳のころ。
左目にかゆみと痛みが出たため、眼科医院を受診すると
「アレルギーだろう」と、炎症を抑えるステロイド点眼薬を処方された。
だが症状は悪化。左目が痛くて開けられなくなった。


昨年六月、順天堂医院の眼科を受診し、春季カタルと診断された。
抗アレルギー薬と免疫抑制薬、抗生剤の三種類の点眼薬に
重症時はステロイド点眼薬を加えて治療し、快方に向かった。
現在はまぶたの腫れも軽減し、目も開けられるようになった。


「春季カタルは重症のアレルギー性結膜疾患の一つ」。
同大医学部の海老原伸行・先任准教授(眼科)は説明する。
同疾患では季節性アレルギー性結膜炎(スギ花粉症など)
通年性アレルギー性結膜炎(ハウスダストなどによる結膜炎)などが知られるが
春季カタルはこれらとは別の種類の疾患だ=図。


特徴は、上まぶたの裏側に石垣状の隆起ができたり
黒目と白目の境目が充血したり腫れたりする。
主な症状は目の痛みや目やに、充血など。
黒目にもびらんや潰瘍ができる場合があり、「痛くて目が開けられないこともある」。
重症化して黒目が濁ると、視力が低下することもある。


アレルギーを引き起こす抗原は「ダニが多い」と海老原准教授。
患者の七割は男性だが、理由は解明されていない。
発症は四歳ごろから見られ、最も多いのは九、十歳。
「成長とともに良くなり、十代後半で治ることが多い」。
ただアトピー性皮膚炎を合併している場合、二十代以降も症状が長引くことが多い。


病名に「春季」と季節名を冠するが、海老原准教授は
「春というより、ダニの増える季節に悪化する傾向が強い」。
これから夏に向け注意が必要だ。