笹嶋勝「クスリの鉄則」
アスピリン喘息に使える鎮痛剤は?
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/di/column/tessoku/201102/518481.html
アスピリン喘息について
成人の喘息患者の約10%の人が発症するリスクがあると言われます。
小児での発症はまれです。
慢性副鼻腔炎や鼻茸(鼻ポリープ)のある人ほどアスピリン喘息が多いとされ
これらを持つ人の約50%がアスピリン喘息を発症するとも言われています。
また、コントロール不良例や重症の成人喘息患者の約30%に
アスピリン喘息が認められるとされています。
内服薬だけでなく、貼付剤、塗布剤、点眼剤でもアスピリン喘息は発症します。
症状発現の早さは、注射剤・坐剤>内服剤>貼付剤・塗布剤です。
アスピリン喘息であることを自覚していても
「外用剤なら大丈夫」と勘違いしている患者もいますので、注意が必要です。
「嗅覚低下」「鼻閉・鼻汁」「空咳」などの症状が出現し
その数年後にアスピリン喘息発作を発症する場合が多いようです。
NSAIDs等を使用した直後から1時間後くらいの間に喘息発作を発症し
ひどい場合には、意識を失ったり、死亡したりすることもあります。
アスピリン喘息に使える鎮痛剤
以前から、アセトアミノフェンやソランタールなどは安全だと言われていますが
実は両薬剤とも、添付文書上はアスピリン喘息が禁忌になっています。
医師から相談されたような場合に、安易にこれらを薦めるわけにはいきません。
また、アセトアミノフェンは、最近
1日4000mgまでの高用量投与が認められるようになりましたが
1日1000mg以上の投与でアスピリン喘息を起こすことが分かっています。
ときに、かぜの患者などに対して、アセトアミノフェンと
1g(1回量)中にアセトアミノフェン150mgを含有するPL配合顆粒が併用され
合わせるとアセトアミノフェンが1000mgを超えてしまう、という処方も見かけますから
成分の重複がないか、きちんと鑑査することが大切です。
また、ソランタールなどの塩基性鎮痛剤は、解熱効果がありません。
まれに「発熱時頓用」でソランタールが処方されているのを見かけますので、注意しましょう。
添付文書でアスピリン喘息は禁忌となっていない鎮痛剤としては
シメトリドと無水カフェインの合剤(商品名:キョーリンAP2)や
エモルファゾン(商品名:ペントイルほか)があります。
ノイロトロピン(一般名:ワクシニアウイルス接種家兎炎症皮膚抽出液)も
即効性はないものの、鎮痛作用がありますので、ここに挙げておきたいと思います。
極端に痛みが強い場合は、モルヒネやコデインリン酸塩であれば安全に使用できます。
なお、添付文書上は禁忌とされていますが、『喘息予防・管理ガイドライン2009』では
セレコキシブ(セレコックス)は常用量で安全に用いることができる、と記載されています。