リウマトレックス

上限量は2倍の週16mg、ようやく国際水準の治療へ
メトトレキサートが関節リウマチの第1選択薬使用可能に
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/hotnews/int/201101/518309.html



厚生労働省はメトトレキサート(MTX)について、第1選択薬としての使用を可能とし
かつ1週あたりの上限投与量を現行の8mgから16mgに引き上げる改訂を了承した。


MTXでは、関節リウマチにおける効能・効果欄に
「過去の治療において、非ステロイド性抗炎症剤、および
他の抗リウマチ剤により十分な効果の得られない場合に限る」とする制限があった。
今回の改訂ではこの文言を削除する。
これにより、関節リウマチの診断がつき次第、MTX投与が可能になる。


東京医科歯科大学膠原病・リウマチ内科宮坂教授
(日本リウマチ学会理事長)に承認の意義と承認までの経緯について聞いた。


――ようやくMTX高用量投与が実現しました。
宮坂 臨床上で8mgを超えて使わなければならない症例は少なくない。
これまでも医師の裁量で使うことはできたが
問題が起きた場合、医師が矢面に立たされる状況だった。
日本リウマチ学会は、今回の承認に先行して、2010年9月
16mgまでの投与に対応したMTXの診療ガイドラインを公表している。


――関節リウマチの実地医療における意義はどのようなものですか。
宮坂 非常に大きい。早期の関節リウマチでは進行が速い症例があり、骨破壊も早い。
こうした症例では必要に応じてMTXを中心とした治療を行わなければ関節破壊が進み
患者のQOLは落ちる。さらに生命予後も悪くなることがわかっている。
にもかかわらず、添付文書に第1選択薬としての使用を認めない記述があるため
日本だけが使えなかった。


――ほかの抗リウマチ薬の使用が減る可能性は。
宮坂 これまで、第1選択薬として使われてきたサラゾスルファピリジン
ブシラミンは今後とも軽症例に対して使われていくだろう。
MTXの高用量投与で生物学的製剤の利用が減ると予想する向きもあるが
それほど大きく変わるとは思えない。


――国際水準の治療が可能になるという点について教えてください。
宮坂 MTXの第1選択薬としての使用や高用量投与を進めたかった理由の1つは
米国リウマチ学会(ACR)と欧州リウマチ学会(EULAR)が2010年に発表した
関節リウマチの新分類基準など国際的な治療指針に沿った治療を普及させることだ。
新分類基準の目的は、早期から積極的に治療すべき患者さんを早く見つけることにある。
こうした患者さんたちはいち早くMTXで治療する必要がある。