麻杏甘石湯

咳に効く漢方処方(1)
肺に熱がこもった状態の咳に「麻杏甘石湯」
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/di/column/koui/201010/517018.html


36歳女性
夜、布団に入ると咳が出ます。
咳は、いちど出だすと止まらなくて、なかなか眠れません。
激しい咳が連続して出ると、かなり苦しく、胸や腹筋が痛くなり、くたくたになります。
病院にも行きましたが、胸部レントゲン写真などの検査をしても異常はなく
かぜのあとの気管支炎でしょう、ということで咳止めなどの薬をもらいました。
薬を飲むと少し楽になりますが、すぐにぶり返してしまい、あまり効果はありませんでした。


咳は、肺が病気になったときに出やすい症状です。
肺に熱がたまっても、肺が冷えても、また肺が乾燥しても、咳は出ます。


今回の場合は、痰が黄色い、痰が粘る、のどが渇く、舌が赤い、舌苔が黄色い
などの症状から、肺に熱がたまって苦しんでいる、と判断できます。
したがって、この女性の証は「肺熱」です。


肺熱によく効く漢方薬は、麻杏甘石湯(まきょうかんせきとう)です。
肺で悪さをする熱を冷ますことにより、呼吸器系の炎症を和らげ、咳を鎮めます。
もし、咳が長引いていて疲労倦怠感などの症状がある場合は
これに四君子湯など、「気虚」を補う処方も一緒に飲んでもらうといいでしょう。


この女性には麻杏甘石湯と四君子湯の両方を飲んでもらいました。
効果はてきめんで、3日ほどで夜に咳き込むことがなくなりました。
そのまま2週間、漢方薬を服用してもらい、そのあと薬をやめてもらいましたが
その後は咳に悩まされることはなくなりました。


幸井俊高の「漢方薬 de コンシェルジュ