お腹が硬い

日経新聞 漢方道場
北里大学東洋医学総合研究所所長 花輪壽彦先生
http://www.nikkei.com/life/health/page/p=9694E0E4E3E0E0E2E2EBE1E2EBE1


Q.

29歳女性。
結婚して5年たちましたが妊娠しません。
婦人科の検査では特に問題なく、夫の方も異常なしといわれました。
漢方診療を受けたところ「お腹が硬いから妊娠しにくい」といわれました。
どういう意味ですか。

A.

漢方には不妊症に対する様々な薬があります。
どれも女性ホルモンの調節や下腹部の血行をよくする薬です。
「お腹が硬い」というのは漢方特有の腹部診察の所見に用いる表現です。
漢方では妊娠しやすいお腹と、妊娠しにくいお腹がある、と説明します。
妊娠しやすいお腹は下腹部全体に弾力があり、押してもやわらかく圧痛がありません。


一方、妊娠しにくいお腹のタイプの一つは、下腹部を上からなでたり
軽く押すと、全く弾力がない場合で、しばしば虚弱体質や冷え性と関連します。
こういうタイプの方には当帰芍薬薬用人参を含む処方が選択されます。


もう一つのタイプは下腹部を上から押すと、へその下あたりを中心に硬く
弾力がなく、痛みが強いタイプです。硬いお腹は便秘や肥満、月経異常
ストレス、子宮や卵巣などの血行不良と関連して起こる兆候と考えられます。
昔の医書に「石女」(いしずめ)という表現がありますが
おなかが堅くて、妊娠しない女性のことを指しています。
桂枝茯苓丸桃核承気湯などを用います。