漢方薬はなぜ効くのか

漢方スクエア
田代 眞一先生(昭和薬科大学病態科学研究室 教授)
http://www.tsumura.co.jp/password/magazine/121/index2_kiji.htm#sw1



漢方薬を構成する生薬の有効成分には配糖体が多い。
配糖体は水溶性が高いため
リン脂質から成る細胞膜を透過できず、腸内で吸収されない。
腸内で配糖体が吸収されるためには糖を除く必要があり
この役割を腸内細菌である資化菌が担っている。
資化菌は配糖体の糖を切り、エネルギー源として利用する。
配糖体から糖が外れると、脂溶性が高いアグリコンとなり、腸内で吸収される。
なお、配糖体は盲腸まで届いてから活性化されることが多いという報告がある。


例えば大黄やセンナの瀉下成分であるセンノシドは
2つのブドウ糖残基がβ結合しているため、ヒトの消化酵素では切れない。
ビフィズス菌によりセンノシドのブドウ糖が外されてセニジンとなり
さらに半分に切られて、真の有効成分であるレインアンスロンとして吸収され
瀉下成分が作用する(図1)。


田代先生は、漢方薬の配糖体は腸内細菌によって活性化されるプロドラッグであることから
抗菌薬を併用すると効果が減弱する、
また、菌叢の変化により便の軟化や腹痛を起こす場合もある、とまとめた。