その患者指導、大丈夫?
【尿路結石】カルシウム摂取を減らすべきか
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/report/t088/201004/514882.html
尿路結石の約9割は、カルシウム含有結石。
また、結石患者は健康な人に比べ、尿中カルシウム排泄量が多い傾向にある。
そのため、「カルシウム摂取量を制限すべきという考え方が生じたのだろう」
と市立貝塚病院院長の井口氏。
だが現在は、この考え方は全くの誤りであることが示されている。
尿路結石の形成には、尿中に排泄される様々な物質がかかわっている。
中でもシュウ酸やカルシウムは結石形成を促進し
クエン酸やマグネシウムは形成を抑制する作用がある。
動物実験を含むこれまでの研究から、動物性蛋白質の過剰摂取は
尿中カルシウム、シュウ酸、尿酸の排泄量を増加させる一方で
クエン酸の排泄量を減らすことが明らかになった。
実際、尿路結石を再発した高カルシウム尿症の男性患者120人を対象に
イタリアで行われたランダム化比較試験において
動物性蛋白質と塩分を制限する食事指導を行った群では
カルシウム制限群に比べ、5年再発率が有意に低かった。
N Engl J Med 2002;346:77-84.
逆に、極度のカルシウム制限はシュウ酸の腸管吸収を促進し
結石形成のリスクを高めることも分かっている。
2004年の「尿路結石症診療ガイドライン」では
再発予防のための食事指導における至適カルシウム摂取量を
1日当たり600〜800mgとしている。
「特に中年女性では骨粗鬆症の傾向にある結石患者も多いことから
適度なカルシウム摂取を勧めたい」(井口氏)。
日本尿路結石症学会が05年に行った疫学調査によると
尿路結石症の発生頻度は、40年前に比べ約3倍に増加。
「近年の結石患者の増加には、食生活の欧米化が影響している」と井口氏はみる。
「再発予防の注意点は、動物性蛋白質や脂肪、塩分を取りすぎないなど
生活習慣病の予防策と共通している。それに加え、水分をしっかり取ることも重要だ」
と名古屋市大の安井氏はアドバイスしている。