痛風 × アルコール


http://medical.nikkeibp.co.jp/inc/mem/pub/di/diquiz/ より一部改変

◆Question

45歳男性 高尿酸血症
プリン体が大幅にカットされた発泡酒が売られていますが
そういった商品なら多少多めに飲んでも構わないのでしょうか?


処方せん
ザイロリック錠(100mg) 2錠 分2 朝夕食後 28日分

服薬指導

プリン体が少ないからビールよりたくさん飲めるのかというと
実はそうではありません。
アルコール自体に、体内の尿酸値を上げる作用があるからです。
アルコール度数は、ビールでも発泡酒でもほとんど変わりませんから
やはり発泡酒であっても量は控えるべきと言えます。
同様に日本酒やウイスキーなども摂りすぎは禁物です。
日本酒なら180mL
ビールなら500mL
ウイスキーなら60mL 程度を1日で飲むと、尿酸値に影響が出ます。

解説

高尿酸血症患者のプリン体摂取量については
日本痛風核酸代謝学会が作成した「高尿酸血症痛風の治療ガイドライン」(2002年)では
「1日に400mgを超えないようにするのが実際的である」としている。


プリン体を多く含む食品として有名なのがビールである。
これはビールの主原料である麦芽プリン体が豊富に含まれているためである。
銘柄によっても異なるが、ビール大瓶(633ml)1本当たり約50mgのプリン体を含有する。


発泡酒は、麦芽使用率が低く、プリン体はビールの2分の1から4分の1程度である。
2003年に入ってからは、それらの発泡酒に比べ
さらにプリン体が5〜9割カットされた製品も発売されるようになっている。


ただし、高尿酸症患者では、プリン体だけではなくアルコール量にも注意を要する。
アルコールの分解時には血中乳酸濃度の上昇がみられるが
乳酸は尿酸が腎臓から尿に排出されるのを抑制し
その結果、体内に尿酸が蓄積されるからである。


また最近、アルコールによってプリン体の一種であるアデニンの代謝が亢進して
尿酸を生ずる結果、血中尿酸値が上昇することもわかってきた。
つまり、アルコールそのものによる尿酸値上昇作用も大きく
このことから、高尿酸血症患者には、アルコール飲料は種類を問わず、控えるべきとされている。
プリン体の含有量がビールに比べ低い発泡酒だが、アルコール度数は同程度となっている。


なお、アルコール飲料の適量は、学会のガイドラインでは
「血清尿酸値への影響は、日本酒1合(180mL)
またはビール500mL、またはウイスキー60mLより現れる」
「週に2日以上、禁酒すること」としている。