医師のための薬の時間
テグレトール服用でピアノの電子音、チャイムの音が低く聞こえる!
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/doctors/series/drug/imedis/201003/514586.html
10歳代の女児の母親から
「最近、子供がテグレトールを服用し始めてから
ピアノの電子音、チャイムの音が低く聞こえていると訴えているが
これは薬の副作用でしょうか?」と問い合わせがあった。
患児は電子ピアノを習っていた。
テグレトールを中止して、デパケンR錠に変更後
患児の聴覚が正常に戻ったとのことであった。
テグレトール(カルバマゼピン)による音感変化は
本剤の減量や中止によって回復するが
患者が音楽に携わっているかなどを確認し、該当する患者には特に注意が必要である。
カルバマゼピンには
耳鳴り、聴力低下、聴覚過敏、音程変化などの副作用が報告されており
とりわけ半音低下の聴覚異常の報告が多い。
報告症例の多くはピアノなどの楽器を演奏しており、絶対音感を保持していた。
カルバマゼピンによる聴覚異常のメカニズムは明らかにされていないが
大脳辺縁系に作用して知覚面での失調をきたす
あるいはコルチ器官を障害するといった説がある。
カルバマゼピンにより音のリズムの異常を呈した症例
症状 | 患者 | 使用理由 | 一日投与量 | 血中濃度 | |
ピッチを半音低く感じる音楽や会話のスピードが早く感じる | 17歳女性 | 後頭葉てんかん・複雑部分発作 | 500mg | 8.9-9.1μg/dL | |
音楽や会話のスピードが早く感じる | 11歳男性 | 後頭葉てんかん・複雑部分発作 | 500mg | 9.3μg/dL |