ダイアップ坐剤

笹嶋勝「クスリの鉄則」
ダイアップ坐剤 : 3回目投与時の注意を徹底すべし
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/di/column/tessoku/201001/513815.html



小児の熱性痙攣に頓用で使用されるダイアップ坐剤(一般名:ジアゼパム)ですが
投薬時に、複数回使用する場合の投与間隔について
保護者に十分に説明しておくことが大切です。


ジアゼパムは、半減期が30時間程度と非常に長い薬剤です。
このため、血中濃度が高まりすぎないように
1個目を投与したあと
2個目を投与するまでには8時間、空ける必要があります。
そして、さらに3個目を挿入する場合には
2個目の投与からさらに16時間を空ける必要があります。
1個目から2個目と、2個目から3個目とで
空けるべき時間の長さが異なる点がポイントです。


添付文書に「1日1〜2回」と書かれているため
「1日に2個まで」という説明をする医師が多いのですが
筆者は、深夜に(日付が変わったからといって)3個目のダイアップ坐剤を使用し
ジアゼパム過量症状を呈した子供に遭遇したことがあります。
ほかにも、4〜5時間おきに挿入するように言われて入院に至ったケースもあり
ダイアップ坐剤によりジアゼパム過量を来したと思われる症例には何度も出会っています。


また、ダイアップ坐剤は、
アセトアミノフェンの坐剤と併用されることもしばしばありますが
使用時にはジアゼパム坐剤を先に入れ
30分ほどしてからアセトアミノフェン坐剤を投与しないと
ジアゼパムアセトアミノフェン坐剤の基剤に吸収されてしまい、効果発現が遅くなります。

熱性痙攣

Q. 熱性けいれんといわれ、ダイアップ坐剤とアンヒバ坐剤が処方されました。
どのような順序で使えばよいですか?
http://www.okiyaku.or.jp/0_QA/kodomo/kodo05.html


この2つを併用する場合には、使用順序、投与間隔に気をつけなければなりません。
まず「ダイアップ®坐剤」(抗けいれん剤)を入れ、
30分以上たってから「アンヒバ®坐剤」(解熱剤)を使って下さい。


同時に使うとダイアップの吸収が遅れてしまったり、
逆にアンヒバ坐薬を先に使うとダイアップの効果が現れなくなる恐れもあります。
なお、効果が現れるまでの時間は、
ダイアップ®坐剤、アンヒバ®坐剤ともに約30分です。


(理由)
ダイアップ®坐剤の成分「ジアゼパム」は、油に溶ける性質を持っています。
一方、アンヒバ®坐剤の基剤(薬の成分を溶かし込んでいる部分)には
油脂性基剤が使われています。
そのため、アンヒバ®坐剤を同時、または先に使うと、
その基剤にジアゼパムが溶け込んでしまうため、ジアゼパムの吸収が妨げられ、
効果が現れるまでに2〜4倍の時間がかかってしまったり、
場合によっては効果が現れなかったりするおそれがあります。


(熱性けいれんといわれたら)
ダイアップ®坐剤は熱性けいれんの予防のために使います。
熱性けいれんは体温が上がるときに起こりやすいので、37.5℃を超えたら
(熱が上がりそうだと思ったら)出来るだけ早く使って下さい。
そのあとも発熱が持続し、8時間たっても38℃以上の熱がある場合には、
もう一度、初回と同じ量を使います。
その後は発熱していても、けいれんを起こす可能性は少ないので
(けいれんは急激に発熱した場合に起こります)、3回目を使う必要はありません。
発熱初期にタイミングよく抗けいれん剤の坐薬を使えば、
ほとんどの場合けいれんは予防できます。
冷蔵庫に最低2個はダイアップ®坐剤を保存しておいたほうが良いでしょう。
けいれん発作が10分以上続くときは受診して下さい。


(副作用は?)
一時的に眠気、ふらつきが現れたり、かえって興奮したりすることがありますが、
2〜3時間でおさまりますから、心配しないで下さい。


(解熱剤はいつ使えばいいの?)
解熱剤の使用で、熱性けいれんの頻度が減少したという報告はなく、
熱性けいれん治療の主体は、あくまで抗けいれん剤です。
お子さんの機嫌が良ければとくに解熱剤を使う必要はないでしょう。
逆に解熱剤の効果が切れて、一度下がった熱が再び上がり始めると
、けいれん発作は熱の上がり始めに起こる場合が多いので、
かえってけいれんを起こすきっかけを増やしてしまうことにもなりかねません。
解熱剤を使用する目的は、発熱の不快感や食欲不振をのぞくことにあります。
「食事を取らせたい」「ぐっすり寝かせたい」などの理由で使用するほうがよいでしょう。
その場合は、冒頭に述べたような使用順序・間隔に気をつけて下さい。


熱性けいれん坐剤
熱性けいれん坐薬
座薬どちらが先か
坐剤どちらが先か