クラミジア

治らない咳の陰にクラミジア

http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/report/200910/512586.html


喘息の治療を行ってもなかなか効果が上がらない─。
そんなときには、肺炎クラミジアが関与している可能性がある。
熱があまり出ない、乾いた咳がいつまでも続く、といった症状が特徴だ。


クラミジアによる呼吸器感染症には、オウム病クラミジアによるオウム病や
クラミジア・トラコマチスの母子感染による新生児・乳児肺炎などがあるが
中でも肺炎クラミジアによる肺炎は市中肺炎の約1割を占めている。


肺炎クラミジアは人を宿主とし、飛沫感染により伝播し、呼吸器感染を起こす。
小流行を繰り返すが、季節性はないとされる。


肺炎クラミジア感染は、単独では軽症で自然治癒することも多いが
喘息などの基礎疾患を持つ患者に肺炎クラミジア感染が併発していると、見過ごされがちだ。

「発熱のない咳」に注意

肺炎クラミジアの感染を疑うポイントは、発熱がないことと、長く続く咳。
ウイルス感染による咳であれば、約2週間以内には改善するのが一般的。
2週間以上咳が続く場合には、肺炎クラミジアマイコプラズマなど非細菌性の感染が疑われる。
川崎医大の宮下修行氏
「咳だけでは両者の区別はできないが、マイコプラズマは熱が出る一方で
肺炎クラミジアは発熱しにくいという特徴がある。出たとしても37℃台であることが多い」

肺炎以外も念頭に

注意しておきたいのは、患者が肺炎クラミジアに感染していたとしても
必ずしも肺炎を引き起こすわけではないということだ。
宮下氏は、「肺炎クラミジア感染による炎症は、実は肺炎よりも上気道炎の方が多い」と話す。
その場合は胸部のCTを撮っても肺炎は見付からないため、より見過ごされる可能性が高い。

マクロライド系抗菌薬が有効

ニューキノロン系が肺炎に有効であるほか
「気道炎症に対しては、マクロライド系抗菌薬が効果的」と宮下氏は推奨する。
喘息患者は吸入ステロイドを使用していることが多いため
ステロイドとの兼ね合いもポイントだが、わざわざ使用を取りやめる必要はないようだ。