インフルエンザ × ボルタレン

ボルタレン 適正使用のお願い ノバルティス
http://www.novartis.co.jp/product/vol/te/te_volsup0909.html
photo:NHK



ボルタレンにつきましては
平成12年に「緊急安全性情報」を発行してご案内いたしました通り
インフルエンザ脳炎・脳症の患者には禁忌となっています。


緊急安全性情報 平成12年11月
インフルエンザ脳炎・脳症患者に対するジクロフェナクナトリウム製剤
ボルタレンサポボルタレン錠)の使用について
http://www.novartis.co.jp/product/vol/kinkyu/kinkyu001116.pdf


インフルエンザ脳炎・脳症の患者に対し
解熱を目的としてジクロフェナクナトリウム製剤(錠又は坐剤)を投与した場合
生存率等の予後が悪化する傾向を示す複数の疫学的研究が報告されています。
また、インフルエンザ脳炎・脳症の特徴的な病理所見として
脳及び全身の血管の障害が見出されました。
このこととジクロフェナクナトリウムの薬理作用とを考え
合わせると、インフルエンザ脳炎・脳症の悪化に関与する可能性が考えられます。
インフルエンザの臨床経過中に脳炎・脳症を発症した患者の治療にあたっては
下記の事項にご留意ください。


インフルエンザ脳炎・脳症患者に対してジクロフェナクナトリウム製剤を投与しない。
インフルエンザ脳炎・脳症の発症因子ではありませんが
その症状の重症化に関与している可能性があります。
予後が悪化するおそれがありますので、インフルエンザの臨床経過中に
脳炎・脳症(痙攣、意識障害等)を発症した患者には投与しないでください。



また、平成13年5月の使用上の注意改訂により
ボルタレンは小児のウイルス性疾患(水痘、インフルエンザ等)に対しては
原則として投与しないこととなっています。


重要な基本的注意
ジクロフェナクナトリウム製剤を投与後にライ症候群を発症したとの報告があり
また、同効類薬(サリチル酸系医薬品)とライ症候群との関連性を示す
海外の疫学調査報告があるので、本剤を小児のウイルス性疾患の患者に
投与しないことを原則とするが、投与する場合には慎重に投与し
投与後の患者の状態を十分に観察すること。


〔ライ症候群:
水痘、インフルエンザ等のウイルス性疾患の先行後
激しい嘔吐、意識障害、痙攣(急性脳浮腫)と肝臓ほか諸臓器の脂肪沈着
ミトコンドリア変形、AST(GOT)、ALT(GPT)、LDH、CK(CPK)の急激な上昇
アンモニア血症、低プロトロンビン血症、低血糖等の症状が
短期間に発現する高死亡率の病態である。〕


その他の注意
(1)インフルエンザの臨床経過中に脳炎・脳症を発症した患者(主として小児)のうち
   ジクロフェナクナトリウムを投与された例で予後不良例が多いとする報告がある。
(2)インフルエンザ脳炎・脳症例の病理学的検討において
   脳血管の損傷が認められるとの報告があり、また、ジクロフェナクナトリウムは
   血管内皮修復に関与するシクロオキシゲナーゼ活性の抑制作用が強いとの報告がある。