財務省は唾棄すべき小役人集団

財部誠一の「ビジネス立体思考」 より
http://www.nikkeibp.co.jp/article/column/20090902/178293/



浮き足立つ霞が関の官僚たち

役所という組織の論理は腐りきっている。
彼らの「省益」とは「天下り先をどれだけ確保するか」だけだと断じていい。
ことに役所の実効支配を受けている特殊法人公益法人への天下りが悪辣なのは
役人OBが働かずに高額の報酬や退職金を掠め取っていることに尽きる。


人口が減り、経済成長もままならず、地方経済が崩壊しているのに
役人は天下り先の確保、拡大に最大の価値を置いている。
役所の権限拡大とは予算を大量に獲得して、それを関係諸団体に流し込み
そのおこぼれをOBに横流しする。これが役所の実態だ。

補助金が各種団体を通じて得体のしれぬ公金に

民間企業に天下ったOBたちの態度をみると、その腐敗ぶりがさらに鮮明になる。
現在はベンチャー企業の経営者として成功しているある役人OBは
かつての同僚や先輩たちの所業にあきれ返りながらこう話す。


「民間企業に天下ったOBの中にはひどいのがいて
『なんで俺がいつまでも平取なんだ。早く常務にしろ』
と官房に電話をしてくる奴までいる。多くはこんな感覚ですよ」


私は民主党の個別政策については多くの異論を持っているが
脱官僚を本気で志向する態度には大いに共感できる。
民主党藤井裕久最高顧問は「自民党霞が関の下にある」と評したが、まさに至言だ。


役人たちの合法的な税金ネコババを見て見ぬふりをするどころか
族議員たちは一緒に国に寄生してきた。
今回の衆院選民主党が大勝した最大の背景は
民主党のばらまきマニフェストへの評価ではなく
自民党霞が関が二人三脚で創りあげてきた私利私欲の国のカタチに
国民がレッドカードを突きつけたということではないか。


財務省の幹部にこの点をただしてみると、こんな返事が返ってきた。
「東南アジアの一部の途上国のように、役人が横領するような
明らかなネコババがある訳ではありませんが
日本の補助金は、余計な人員を抱えた外郭団体や業界団体を経由させることで
得体の知れぬ公金となって使われていることは間違いない」


財務省は役人の無駄遣いを見直せるか

脱官僚とはまさに、予算の全面見直しを通じて、各省庁の合法的ネコババをなくし
必要な財源を必要な支出に回すことだ。


しかし考えてみれば、本来ならその役目を果たすべきは財務省だったはずだ。
財務官僚は日本の財政危機を煽り、増税の機会をうかがうことしかやってこなかった。


財務省が自ら本気で財政再建を果たす気概があったら
霞が関がここまで堕落することはなかったはずだ。
財務省主計局は霞が関随一のエリート集団だが、その実態は
フリクションを恐れ、人事にしか興味の持てない唾棄すべき小役人集団だ。
だが、財務省はその汚名をそそぐ歴史的チャンスを手に入れた。

財務省民主党を徹底的に利用すればいい。

民主党の暴走を許して国家財政を破綻させてしまうか
それとも民主党の「予算の全面見直し」を通じて財政再建への道筋をつけるか。
それは財務官僚の矜持ひとつにかかっている。