デュロテップ


http://medical.nikkeibp.co.jp/inc/mem/pub/di/diquiz/ より一部改変

◆Question

胃癌の治療を受けている男性の妻が薬局を訪れ、次のような質問をしました。


デュロテップパッチはお風呂に入ると、はがれそうになるときがあるのですが
その場合は新しいものを貼ってよいのでしょうか?

《処方せん》
デュロテップパッチ2.5mg 3枚
デュロテップパッチ 10mg 3枚
 1回各1枚 3日ごとに貼り替え
オプソ内服液10mg 5包
 疼痛時 5回分


◆Anser

入浴時にデュロテップパッチがはがれそうになる場合、一番の原因には
貼ったところに汗をかいてパッチの粘着力が低下したことが考えられます。
入浴する際は、長い時間、熱い湯船に浸かったり
熱いシャワーを浴びないように注意してください。


汗をかきにくい場所に貼ったり
貼り替えのタイミングを入浴後にすることも一法です。


パッチは、全体が皮膚面に密着していないと十分な効果が得られません。
はがれそうになったパッチは、再度手の平で押し付けて皮膚に密着させます。
縁を絆創膏やテープで固定しても構いません。
その際には、またはがれないように、はがれそうになった側だけでなく
両方の側を固定してください。


これらを行っても皮膚に密着しなくなった場合は
新しいものに貼り替えてください。
2種類のパッチをお使いですが、はがれそうになったパッチが1枚だけでも
2枚同時に貼り替えます。
取り換えた新しいパッチは、そのときから3日間の貼付です。


パッチを取り扱う際は、外縁部を持ち
薬剤が含まれているゲル部分を触らないよう注意してください。

◆解説

貼付部位は、胸部、腹部、上腕部、大腿部前面などの観察しやすい部位が適する。
体毛が少なく、清潔で乾燥し、傷のない部分を選ぶ。
貼付時は、30秒間手の平で押さえて皮膚面に完全に密着させなくてはならない。
そうしないと、吸収が低下してしまう。


このような注意点を守れば
デュロテップパッチが途中ではがれることはほとんどなく、入浴も可能である。
入浴時にはがれやすくなる場合は、
発汗を防ぐため熱い風呂に長く浸からない、汗をかきにくい場所に貼る
入浴後に貼り替える、などを指導する。
なお貼付時に30秒間パッチを押しつけたかも確認しておく。


粘着力があるのにはがれそうになったデュロテップパッチは
再度手で押し付けて固定する。補助的に医療用テープを貼ってもよい。
その際はまたはがれないよう、はがれかけた側だけでなく両側を固定するよう指導する。
これらでパッチが皮膚に十分密着すれば、新しい製剤に交換する必要はない。


しかし、皮膚に密着できないほど粘着力が低下した場合は、新しい製剤に取り換える。
その場合、パッチを複数枚使用しているときは、すべてを同時に貼り替えなくてはならない。
各パッチの貼付日時が異なると、3日ごとの貼り替え時を間違える可能性があるからだ。
また2日間貼付してはがれた場合、新しい製剤を3日間貼付すべきところを
患者によっては残りの1日だけ貼付するものだと考えることもあるので
誤解のないよう説明する。


介護者がパッチを取り扱うケースでは、外縁を持ち
内容物を含むゲル部分に接触しないよう注意する。
介護者が誤って粘着部分を触り、副作用が発現したとの報告がある。
接触した場合は、すぐに流水で薬剤を洗い流す。
せっけん、アルコールはフェンタニルの吸収促進剤として働くことがあるため、使用しない。