ニコチネル


http://medical.nikkeibp.co.jp/inc/all/di/diquiz/ より一部改変

◆Question

禁煙外来でニコチネルを処方された患者からの質問
「この薬を貼れば本当にたばこをやめられるのですか。
また、先生から、心臓や脳の病気をしたことはないかとか
飲んでいる薬はないかとか聞かれました。どういうことなのでしょうか?」

処方せん
* ニコチネルTTS30
 1日1枚 最初の4週間
* ニコチネルTTS20
 1日1枚 次の2週間
* ニコチネルTTS10
 1日1枚 最後の2週間


◆Anser

たばこがやめにくいのは、ニコチンが依存状態を引き起こしているからです。
ニコチネルTTSを貼ることで、ニコチンが体内に吸収され
吸いたいという気持ちを抑えられます。
指示通り3種類のお薬を使ってニコチンの量を減らしていけば
2カ月くらいでお薬がなくても平気な状態になります。


ただ、ニコチンは心臓や脳の血管にも作用するため
心臓病や脳卒中にかかったことがある人に、この薬を使うのは難しいとされています。


また、ニコチンやたばこと相性の悪い薬を飲んでいる場合
薬の効果が弱くなったり、副作用が強く出る恐れがあります。


もしたばこが吸いたくなったら、冷たい水を飲むとか
好きな音楽を聞くとか気分転換を習慣づけることも効果的です。

◆解説

ニコチンは、心拍や血圧の上昇、胃粘膜血流の低下など
循環器系や消化管系にも作用を及ぼすため、狭心症心筋梗塞、高血圧
不整脈、脳血管障害、消化性潰瘍などの患者は慎重投与となっている。
同剤を処方された患者に対しては
医師により心臓や胃腸の異常をチェックされたか否かを確認すべきである。


また、ニコチンは、血中コルチゾールやカテコラミンの分泌を増加させることから
アドレナリンの作動性あるいは遮断性のある薬剤に影響を与えることが知られている。
β刺激剤などのアドレナリン作動剤は、ニコチンにより作用が増強され
α遮断剤などのアドレナリン遮断剤はその作用が減弱される。


さらに、テオフィリンやプロプラノロールなど
CYP1A2を誘導する薬剤を服用していた患者が
ニコチネルTTSを使って禁煙すると、血中濃度が上昇し副作用を生じる恐れがある。
これは、たばこ煙に含まれる脂溶性芳香族炭化水素などにより高まっていた
CYP1A2の活性が、禁煙により低下するためだと考えられている。


なお、喫煙したくなった時に、冷たい水を飲む、あめをなめる
好きな曲を聞くなどの代償行動療法も禁煙に効果的である。