会社で自己実現なんてできっこない

【質問】
私は、自分の仕事に誇りを持っている。
楽しんでやっているし、仕事を通じて
少しでも社会に貢献できていると思い、そのことを喜んでもいる。
職場は、自己実現の場だと考えてきたが、それは間違いなのだろうか。


【回答】 ひろさちや
仕事で自己実現などできるはずもない。
人間は、何のために生まれてきたのか、生きているのか。
それは決して、仕事をするためではないはずだ。
なのに多くの人は、
まるで仕事をするために生まれてきたかのように振舞っている。
ただ、物事はそれほど単純ではない。
英語で仕事を意味する言葉は、実は3つある。
Play、Work、Labor(レイバー)の3つだ。


プレー  肉体的苦痛− 精神的苦痛−
ワーク  肉体的苦痛+ 精神的苦痛−
レイバー 肉体的苦痛+ 精神的苦痛+


楽家がピアノを弾いたり、画家が絵を描いたりすることはプレー
もちろん、必死に練習したり、
絵を仕上げようと思えば、それなりの肉体的苦痛も伴うであろうが
達成感といった精神的な喜びがそれを上回るわけだ。
プロ野球選手などのスポーツ選手がやっている仕事がワークだろう。
では、ビジネスパーソンの仕事はというと、これはもうレイバーだ。
管理職はワークかというと、これもやはりレイバーだと思う。
残念ながら企業社会にはワークすらない。


だとすれば、自己実現はどこで行うべきか。
自ずとそれは家庭、
あるいはプライベートな時間で、ということになる。
人生の中で、一番長い時間を使っているのが仕事だというが
それは刑期が長い囚人と同じ。
人間としては不完全な人間だというしかないね。