なぜこの島に来たのか

なぜこの島に来たのか?ってよく聞かれるが
それを話すとけっこう長くなる。

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2005年5月頃
僕は失業給付を受けるために
ハローワークに4週間ごとに顔を出していた。


金をもらうには
その前の4週間の求職活動を報告しなくちゃいけないが
僕は世界旅行を繰り返していて求職活動はしていない。


働く気はまるでなかったが
きまぐれに調剤薬局の最大チェーンS社にネットで資料請求したら
電話がかかってきた。正直に電話番号を書き込んだせいだ。


S社の人事課長M氏は京都まで来るから会おうと言う。
まあ僕もヒマだったので会ったところ
僕の志望は那覇調剤薬局なのに
M氏はなぜか島の病院薬剤師という話を持ってきた。
S社の研修の一環かと思っていたのだが、どうも違うようだ。
M氏は病院からマージンをもらっているのだろうか?


那覇調剤薬局はどーなんです?」
僕は聞いた。
「いやー那覇は人気があって欠員がないんだ。
 欠員があったとしても
 RYOさんは薬剤師の経験もないし、歳だしね。
 ウチは毎年新卒のピチピチギャルがいっぱい入ってくるんですわ。」


だったら何で僕に会いに来たんだ?


まあその時はまだ南米と東欧旅行の予定があったので
返事はしなかったんだけど
それが終わった後も電話で懇願された。
やっぱりマージンがもらえるのだろう。


そのうちに、兄夫婦から早く出て行けと急かされていることもあって
この島に決めたわけだよ。
求職活動といえば、それ1回きりでネクタイもしなかった。


余談だが
僕はその頃、浅見光彦と同じように
兄夫婦の家に居候生活をしていた。
母親もいて浅見光彦と家族構成は同じだ。
ただお手伝いさんはいなかったし
母親といっしょに旅行することもなく
殺人事件にも巻き込まれなかったが。