医師のための薬の時間
カネボウ当帰芍薬散料とツムラ当帰芍薬散を同じものと思いこんだ
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/doctors/series/drug/imedis/200705/503460.html
漢方製剤の場合、名前が同じであっても
メーカーによって構成生薬の種類、含有量が異なることがある。
当帰芍薬散エキスの比較
ツムラ当帰芍薬散エキス顆粒(医療用)
組織 本品 7.5 g中、下記の割合の混合生薬の乾燥エキス 4.0 gを含有する。
シャクヤク 4.0 g
タクシャ 4.0 g
ブクリョウ 4.0 g
センキュウ 3.0 g
トウキ 3.0 g
ソウジュツ 4.0 g
カネボウ当帰芍薬散料エキス細粒
本薬 1 日量(6.0 g)中
シャクヤク 6.0 g
タクシャ 4.0 g
ブクリョク 4.0 g
センキュウ 3.0 g
トウキ 3.0 g
ビャクジュツ 4.0 g
上記の混合生薬より抽出した当帰芍薬散料エキス粉末 5,000 mgを含有する。
http://iphiss.jp/images/dhiyari/70/tab1.html
葛根湯エキス製剤の構成生薬の概要
http://iphiss.jp/images/dhiyari/70/tab2.html
表からわかるように
各メーカーによって構成生薬の含有量が異なっている部分がある。
さらには、エキス末の使用量も異なる。
また、ケイヒ(桂皮;シナニッケイの樹皮)ではなくケイシ(桂枝;シナニッケイの若い枝)を
ショウキョウ(生姜;日局では、ショウガを乾燥させたもの)ではなく
生ショウキョウを使用しているメーカーもあり、まったく同じ効果が得られるかは不明である。
漢方薬の場合、各メーカーが異なる産地から異なる経路で購入した生薬を
メーカー固有の処方に従い製造しているため
あるメーカーの製剤で報告された臨床効果を
同一名の他のメーカーの製剤に当てはめて"同効果である"とは言い切れない。
したがって、基本的には治療にあたっては
同じメーカーの漢方薬エキス製剤を用いるべきであると考える。