血中ビタミンB12高値で全死亡が増加

血中ビタミンB12高値で全死亡が増加

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これまで血中ビタミンB12高値は、
慢性腎臓病(CKD)を合併した高齢者や
入院患者で死亡との関連性が報告されている。
しかし一般成人における両者の関連性は不明であったことから、
オランダ・University Medical Center のJose L. Flores-Guerrero氏らが
同国でコホート研究を実施。
年齢、腎機能の程度にかかわらず、
血中ビタミンB12濃度が高いと全死亡が増加すると
JAMA Netw Open(2020 ; 3: e1919274)に報告した。

4万856例中5,571例を解析

ビタミンB12欠乏は、
貧血や精神・神経症状などに影響を及ぼすことが知られている。
その一方で、血中ビタミンB12濃度が高いと
透析患者では全死亡が増加するとの報告があり、
腎機能障害と血中ビタミンB12高値との関連性が示されている。
さらに葉酸、ビタミンB6、ビタミン12のサプリメントを併用すると
腎機能が急速に低下し、糖尿病患者で心血管イベントの発生が増加することも分かっている。

しかし一般成人において、
健康が障害される血中ビタミン12濃度レベルは明らかでなかった。

PREVEND studyは、
1997~98年にオランダ・フローニンゲン州に住む18~75歳を対象に、
血中ビタミンB12濃度と全死亡の関連性を評価したコホート研究である。
同研究に登録した4万856例のうち、
解析対象は5,571例(平均年齢53.5歳、男性50.8%、2011年1月1日まで追跡)とした。

1SD上昇するごとに死亡リスクは25%増加

解析対象の血中ビタミンB12濃度の中央値は394.42pg/mLだった。
追跡期間中央値は8.2年で、死亡が226例(4.1%)報告された。
血中ビタミンB12濃度により四分位に分け
〔第1四分位群(338.85pg/mL未満、最も低い群)、
第2~3四分位群(338.85~445.40pg/mL)、
第4四分位群(445.41pg/mL、最も高い群)〕、死亡率との関連を検討した。

その結果、第1四分位における死亡は
1万人・年当たり33.8例であったのに対し、
第4四分位群では
1万人・年当たり65.7例と高かった。

年齢、性、腎機能などで調整し、Cox回帰モデルにより解析したところ、
血中ビタミンB12濃度の上昇は全死亡のリスク増加と有意に関連していた。
血中ビタミンB12濃度が1SD増加するごとの死亡ハザード比(HR)は
1.25(95%CI 1.06~1.47、P=0.006)だった。

第1四分位群に対する第4四分位群の調整後HRは1.85(同1.16~2,97、P=0.01)で、
一般成人において血中ビタミンB12濃度が高いと死亡リスクが有意に上昇することが分かった。

欠乏例のサプリメント摂取に注意

Løland KHらは、
ビタミンB12低値例に対する治療が心疾患のリスクを上昇させるため、
有益ではないと報告した(Am J Cardiol 2010; 105: 1577-1584)。
また女性7万5,864例における前向き研究では(JAMA Netw Open 2019; 2: e193591)、
ビタミンB12サプリメント摂取と股関節の骨折リスク上昇の関連性が示されるなど、
ビタミンB12過剰摂取への懸念が注目されている。

そのような背景を踏まえ、Flores-Guerrero氏らは
「われわれの検討結果は、
ビタミンB12欠乏例のサプリメント摂取には注意を要することを示唆するものである」
としている。